生活図画事件

1941年9月20日早朝、旭川師範学校美術部の学生であった菱谷良一さん(当時19歳)と松本五郎さん(当時20歳)は学生寮で就寝中のところを特別高等警察に治安維持法違反容疑で逮捕される。

「我々は警察だ。お前ら熊田は知ってるな。ちょっと署で詳しく話を聞かせて欲しい。」

当時の美術部では熊田満佐吾先生(東京美術学校卒、現東京藝術大学)の指導のもと、

教科書通りに絵を描くのではなく、より良い生き方を模索するため生活や社会の実態を良く観察しそれを絵にする美術教育が行われていた。しかし、それらの絵は突然、反国家的で、共産主義的だとして犯罪の証拠とされる。

逮捕者は27人に及ぶ。そのうちの2人が菱谷良一さんと松本五郎さんだ。彼らは共産主義思想を持って絵を描いていたわけではない。にもかかわらず、結局1942年12月28日まで旭川刑務所に入れられる。その後、執行猶予つきの有罪判決を受ける。

証拠品として押収された絵画や本は2度と彼らの手に戻ってくることはなかった。

残っているのは逮捕前年の展覧会の時に、モノクロフィルムに記録として残された絵の写真のみだった。

出所後の1943年2月11日、菱谷良一さんは妹さんの赤い帽子を被り、自画像を描いた。

これが「生活図画事件」だ。

 

現在、写真集『A Red Hat』赤々舎刊行の特別先行予約受付中!
こちら→http://www.akaaka.com/news/kentarotakahashi-a-red-hat.html

VIEW OTHER PROJECTS